【読書感想】『BORN TO RUN』を読みました

BORN TO RUN 走るために生まれた ウルトラランナーVS人類最強の“走る民族" クリストファー・マクドゥーガル/著

 


 トレイルランに興味を持ち始めて好奇心から読み始めました。本書は自分のような走らない読者を「走りたい」と思わせるような魅力(魔力)を持った良書だと思います。

 自分は本来人間は走ることを得意としていないと考えていました。「つらい」「疲れる」「体への負担が大きい」「フリーラジカル(活性酸素)」が発生するというデメリットが多く、ランニングはあまりせずにいました。本書を読んで考えが変わりました。

 走ること自体は人類に備わっているもともとの機能で、いくつになっても衰えない。そして本書に登場する人物の「楽しそう」に走ること。そして、本書にいくつも散りばめられた登場人物の魅力的なエピソードがどれも情熱を与えてくれます。

 本書に出てくる「タラウマラ族」は ー走る民族ー とも呼ばれ山岳の秘境の地、急こう配を毎日マラソンランナーにも近い距離を走る民族です。
 その民族との出会いとマラソンを超える過酷なレース「ウルトラマラソン」に挑むに登場人物たち。「レース」ということ以上に、それぞれの「走ること」に関する思いが読み取れて、とても楽しんで読むことができました。

 多少難解で話が飛び飛びになり、少し読みづらい部分もあります。
しかし、わかりやすい解説書ビジネス書にはない物語としての楽しさもあって一気に読み進めることができました。
 読んでみてとても満足のいく良書だったと思います!

 


物語としても楽しめますが、本書から学べる要素

  走る民族「タラウマラ族」

・ランナーは故障しやすい

 ランニングを伴うスポーツの競技者は脚に多大な負担がかかります。
走るときの膝や骨、筋肉、軟骨にかかる負担は体重の何倍にもなる。走るときの負担が積み重なることは人体を破壊する。長距離走は「膝の健康に対するとてつもない脅威」となっています。

 

・走る民族「タラウマラ族」

 最も親切で最も幸せな民族であると本書は語る。「タラウマラ族」訳すと「走る民族」。彼らの言葉で「ララムリ」というのが本来の名前です。

 メキシコの未開の山峡地帯の洞窟を住処として、現代社会とのつながりは乏しい。貨幣はなく、好意と伝統のトウモロコシビールの交換で経済が成り立っています。

 

 この「タラウマラ族」が驚異的なのは走ること。マラソン程度のランニングなんてものではなく、丸2日も走り続けるようなレースを日常的にしているところである。しかも平坦な道ではなく峡谷の道を走るのである。恰好はローブ姿にサンダルという伝統的なスタイルで、40度を超す灼熱の山峡地帯をトウモロコシと焼きネズミというわずかな食糧で丸2日も走るのです。
 それでいて「タラウマラ族」は身体を壊さない。

 

「タラウマラ族」の脚が強靭なのは生涯にわたって走り続けてきたからといえます。最も酷使された脚が最も健康なのです。

 

  裸足ランニング

・ランニングシューズはケガの防止にはならない

 「人間は靴なしで走れるようにできている。」


クッションのある靴を履いて走ると踵での着地をして膝にダメージが出るということがわかっています。シューズの構造は足の動きを一変させてしまうものなのだといいます。
 研究で分かったのは最高級のシューズを履くランナーは安価なシューズを履くランナーに比べてケガをする確率が高くなるということ。
 ケニアのランナーは驚異的な足の弾力を持ち、彼らはほとんどが靴を履いて走ったことがないのだといいます。

 裸足で走る人は地面について足からの情報を絶えず受け取っているが、その一方、靴を履く人の足は変わらぬ環境で眠るばかりだ。最良のけがの防止法は週3回濡れた草の上を走ることだと本書は述べています。

 

 走るために生まれた

・人間にとって走るとは遠くに行くことなのかもしれない。

 人体の構造としてアキレス腱、大きな尻が必要になるのは走るときだけであり、この構造はチンパンジーやほかの哺乳類には見られない特徴である。アキレス腱はスピードに無関係だが、エネルギー効率が良い跳躍で大きな意味を持つ。人間はスピードこそ遅いが、持久力を最大に長距離を走るようにできている。