【読書感想】『ブルーゾーン セカンドエディション』を読みました

The Blue Zones(ブルーゾーン)2nd Edition(セカンドエディション) ダン・ビュイトナー/著

 


 世界で現在100歳以上の長寿者が多く暮らす地域を【ブルーゾーン】と呼んでおり、その生活がどのようになっているのか、長寿の秘訣は何であるか調べてまとめた本になります。

 現在世界に5つある【ブルーゾーン】は


 この5つはそれぞれ気候も文化も違いますが、それぞれ健康的に自活ができている100歳以上の人【センテナリアン】が多く住んでいます。本書ではそれぞれどのような生活をしているか一人ひとりインタビューの経験談が書かれていて、その地域の人々の長寿の秘訣が書かれています。

 インタビューの経験談ということもあって、物語のようでもあり、読んでいてとても楽しい、そして生活に素朴で温まるものを感じました。長寿の秘訣というところ以上にこれらの地域の美しさを感じられる1冊だったと思います。

 

 

 イタリア・サルディーニャ

・山岳地帯バルアキア地方

 長寿地域とされている、イタリアサルデーニャ島の山岳地帯バルアキア地方。ほとんどが無人で、山や森、岩の海岸におおわれた自然豊かな美しい地域です。産業は牧羊が盛んで、この地方特有の【ペコリーノチーズ】を生産しています。

 長寿地域のなかでは【男性】の100歳以上の長寿者が多いのが特徴です。ほかの地域では女性の長寿者が多いのですが、この理由はよくわかっていません。彼らの特徴的な性格が長寿に影響していると考えられます。
 彼らはむっつり屋だが人好きはするし、時折辛辣なブラックユーモアをお互いに言い合う。そんな彼らの性格がストレスを発散させているのだろうと言います。

・健康の秘訣

 食べ物は植物性主体の粗食が主体。全粒粉パン、豆類、野菜、果物などを食べている。たまに乳香、ヤギのミルク、ペコリーノチーズを食べます。
 毎日赤ワインを1、2杯飲みます。サルデーニャ特産の【カンノナウワイン】は動脈硬化を防ぐフラボノイドが多く含まれており、ストレス発散にも役立っているようです。

 

・長寿者を大切にする

 この地方は家族を最優先に、年長者をとても大切にする伝統を持っています。年長者は子供たちの支援を惜しまず、生活の知恵を分け与えてくれます。子供たちはより健康的で社会に適合でき、長寿に貢献しています。

 

・よく歩く

 山岳地方で羊飼いをしている彼らは、一日8キロも歩いています。友人の家に行くのにも30分以上自転車をこがなくてはなりません。日常的に運動をしていることが筋肉や骨の新陳代謝を促しています。
 

  沖縄

・日本のハワイ

 日本列島の南西、最西端に位置する。気候は温暖で、ヤシの木が立ち並ぶ。白浜のビーチにターコイズブルーの海。全160の島からなる沖縄。
 毎年のように台風が直撃し、太平洋戦争の激戦地となり、飢饉もあった。不幸な土地柄ですが、世界有数の長寿地域として知られています。

 

・生きがいを持つ

 沖縄の100歳人に共通している資質は、鋭いユーモア、自己満足の気質、難局を乗り切って現在に至ったことへの感謝の気持ちです。ああしていたらよかったのにという後悔の気持ちは持たず、人生に目標をもち伝統的なライフスタイルで暮しています。

 毎日祈ることだったり、畑仕事、三線を演奏することだったり、それぞれの生きる理由付けがはっきり口にできる長寿者ばかりで、口にすることで、自分が必要とされている認識が強まっているようです。以下は本書に書かれている100歳人へのインタビューの一部です。
 

「祖先は常に毎日見守っている毎日、生き延びられたことに感謝する。そうすると毎日がとても貴重におもえるからね。」

「朝をスマイルで過ごすと、1日中さわやかでいられるのです。」

「自分で作った野菜を食べること。自分の将来に期待を持つこと。他人に親切にすること。笑顔を絶やさないこと。」

これが沖縄の人たちの長寿の秘訣のようです。

 

・植物性主体、大豆食品たくさんの食生活

 沖縄の100歳人たちは生涯の大部分を植物性食品を主体にした食生活を送ってきました。沖縄の100歳人はほぼ例外なく自分の畑を持っていて、農作業をすることで体のあらゆる部分を動かし、ストレス解消にもなっているようです。

 よく食べるものは野菜炒めのチャンプルー、ゴーヤ、サツマイモ、豆腐の味噌汁。
 ハーブ類も畑でとれたヨモギや、ショウガ、ウコン、ニンニク。これらは天然の薬局と呼ばれて医療品としての効果があります。

 

 アメリカ・カリフォルニア州のロマリンダ

・大都市の中の孤島 ロマリンダ

 アメリカ合衆国カリフォルニア州南部、ロサンゼルスの東に位置するキリスト教の一会派セブンスデー・アドベンティスト教会の一派が中心となって作られた町。ロマリンダ。
 ここに住む【アドベンティスト】と呼ばれる宗派の人々は、聖書の戒律を忠実に守り、たばこやアルコール、豚肉のような不浄なものは一切食べません。さらにきわめて厳格なアドベンティストたちはこってりしたもの、スパイスやカフェインなど「刺激性のあるものは避けよ」とされて、映画や芝居をみたり大衆文化触れることさえ禁じています。
 このような宗教観がアメリカの大都市のど真ん中に長寿地域を作ったようです。

 

安息日は時間の聖域

 ロマリンダのアドベンティストの長寿者は【何もしてはならない日】と定められた、安息日を大切にしています。

 安息日には、家族、神様、愛する仲間たち、そして自然とともにまる1日過ごす日になっています。テレビを消し、仕事や商売のことを忘れ、自分にとって大切な人たちと過ごすこと。このおかげでストレスから解放され、ネットワークを強め、継続的に運動ができています。安息日は休息と若返りのための【時間の聖域】と呼ぶ人もいます。

 安息日には様々な人が教会に集まりお互いにコミュニケーションを取っているようで、たとえ信仰心がなくなってアドベンティスト教会から離れた人たちさえも、安息日の習慣だけは守り続けているようです。

 

 中米コスタリカのニコジャ半島

・自然豊かなコスタリカ

 コスタリカ南北アメリカ大陸をつなぐ中米のコスタリカ。ニコジャ(ニコヤ)半島はそのコスタリカの西側に位置する自然豊かな半島。美しいビーチと熱帯雨林の広がる観光地です。ここに住む人たちは先住民族チョロテガ・インディアンの影響を受けてトウモロコシや豆などの農作物を伝統的に作っています。

・人生の目標【プラン・デ・ビーダ】

 ニコジャの長寿者はみなそれぞれ、彼らなりの生きる目的意識をもっています。もしもそれがなくなると、存在理由がなくなり、老齢になるとすぐに亡くなってしまうとのことです。
 コスタリカではこの目的意識を【プラン・デ・ビーダ】と呼んでおり、この考え方を大切にしています。

 健康な100歳人は確固としたプラン・デ・ビーダをもっています。彼らの多くは家族の面倒を見ないといけない、という強いサービス精神、義務感があります。自分が必要とされていると感じており、多くの人に役に立とうと努力しているようです。

 

 ギリシアイカリア島


ギリシアエーゲ海に浮かぶ島

 イカリア島はトルコの西海岸から約30マイル(約840キロ)ほど離れたエーゲ海に浮かぶ島です。低木に覆われた山のギザギザした尾根が海に向かって険しく伸び、島全体がほとんど山であり、ほとんどの土地が岩だらけです。かつては港がなく、海賊の脅威があり、「メルテミ」と呼ばれる強風が人々を遠ざけました。イカリアは長い間自給自足の生活をしてきました。

ハーブティーと地中海風の食事
 イカリア島の人たちは家族や友人と一緒にハーブティーを飲むことを楽しみにしています。ハーブティーには抗酸化作用があり体内の余分な水分を排出して血圧を正常に保つことが知られています。
 使っているハーブの種類はオレガノ、セージ、ローズマリーなどを使っており、一つの成分を摂りすぎないように毎日フレーバーを変えて飲んでいるようです。

 また、イカリアの人たちの食事は野菜や果物、豆類、オリーブオイル、全粒穀物などを使った地中海風で、アルコールも適度に摂っているようです。
 ユニークなのはジャガイモ、はちみつ、ヤギの乳、豆類を重視して、果物、魚の摂取量は比較的少ないことです。

 

・遅く起きて、昼寝をして、遅く寝る
 イカリアの人たちは朝【遅く】起きて、庭仕事をして【遅い】昼食をとり、昼寝(シエスタ)をする習慣があります。そして仲間たちとお茶やワインを飲み、夕方【遅く】夕食をとって、【遅く】寝るといったゆっくりとした習慣をしています。誰もが腕時計をしておらず、時計もちゃんと動いていない。時間に対する緩急性が非常に低い土地柄なのです。

 誰もが忙しさに追われることなく、人付き合いや食事に満足感を得て、活動的で穏やかな日常を送っていることが、イカリア島での長寿に貢献しているのかもしれません。