【読書感想】『コンサル1年目が学ぶこと』を読みました
Amazon primeのおすすめからなんとなく気になったので読んでみましたがとても勉強になった1冊でした。
本書は、どんな社会人にも必要な、基礎的なビジネススキルをしっかりと学ぶことができます。タイトルにあるコンサルタントという職業でなくともです。
自分は、社会人なりたての時は、ただただ【絵が描きたい】という欲求だけで生きてきた感じがあり、ビジネススキルも何も学ばずに、絵の能力だけでキャリアを重ねてきたところも大いにあります。「いい絵が作ることができるなら問題ないだろう」とただただ思ってベーシックスキルをおろそかにしていたことは否めません。
しかし仕事は1人ではできません。人とのつながりやコミュニケーションは結局どんな仕事でも必要であり、そこをおろそかにすれば、たとえいい絵が作れても仕事としては成り立たないものです。
コミュニケーションは結論から話す。納期は守る。都合の悪いことは曖昧にしないなど。言語化してしまえばごくごく当たり前のことです。しかしその当たり前すらしっかりできていなかった過去があるので、本書に書かれていることはとても身に沁みます。
社会人として1年目でなくとも、自分のようにキャリア中間で読んだとしても、良い気付きがあると思います。ビジネスの基礎力、人に伝える良技術など、社会人としての地固めにとても良い1冊です。
本書から学べる要素をいくつか抜粋。
本書にはほかにもたくさんのビジネスで抑えておきたい学びがあります。気になったらぜひ本書を手に取ってみてください。
【コンサル流話す技術】
結論から話す
「まず、結論から話しなさい。」これが最も役に立つコミュニケーションの鉄則です。
——例えば
「この液体とこの液体を混ぜたら〇〇ができました。【結論】
なぜそういう現象が起きたのかというと、次のような理由からです…」
このようにまず、結論から話し、続けて詳細を明らかにします。
結論から話すメリットはものごとがシンプルに明確になるということです。それにより短い時間で相手に必要なことを伝えることができます。
PREPの型に従う
Point=結論
Reason=理由付け
Example=具体例
Point=結論の繰り返しで締める
この「型」を意識して整理して話すととても伝わりやすいです。
例えば、本書についてPREP法で説明してみます。
「本書の目的は、私がコンサルタント一年目に学んだ、15年後も使える普遍的なスキルを読者の皆さんに身に着けてもらうことです」
「なぜ、コンサルタント一年目なのか?まずコンサルタントは他の職業に比べて整理された方法論を学ぶことができます」
「例えば、結論から話すというのがその事例です。結論から話すとは……」
といった感じです。普段しゃべるときも思いついたことから話すことをやめて、要点を整理して話すようにしましょう。
相手に理解してもらえるように話す
相手に理解してもらえるコミュニケーションにはコツがあります。
・まず「相手は何も知らない」という前提で話す
・相手の理解度を推し量りながら話す
・相手の仕草を観察して、理解度を察知する
・まず「相手は何も知らない」という前提で話す
相手がその専門であっても「このくらいは知っているだろう」「こんな簡単な話を説明したら逆に怒られるのではないか」という考えをすることは無用です。
小難しい話をすれば「まったく理解できない」話になってしまいます。自分では常識と思っていることでも相手は何も知らないという前提で、ゼロから話す。
・相手の理解度を推し量りながら話す
相手が何も知らないという前提で話し始めたものの本当に話がつうじているのでしょうか。
相手がその場で「ここがわからない」などと指摘してくれたり質問してくれればいいのですが、面と向かってわからないとは言いません。理解しているように見えても、実のところ全く理解していないことの方が多いです。
聞き手は話がわからない場合【無言】になることが多いです。相手が無言でいたらそれは理解していないサインだと思ってください。
・相手の仕草を観察して、理解度を察知する
相手の理解度を測るには、相手の仕草をひたすら観察することです。
例えば、相手が資料を説明するのページを見ていたり、ドンドン先のページをめくって読み進めている。こちらを見ず、隣の人を見ている。「大体わかりました」「おおよそわかりました」という曖昧な返答をすることなどです。
これらは理解していないシグナルです。相手の理解度を示すようなシグナルを意識的に拾って、説明のペースを落としたり、わかりにくいところを再度説明したりと臨機応変に行えるようにしましょう。
【プロフェッショナル・ビジネスマインド】
ヴァリューを出す
コンサルタントのよく使う言葉に【ヴァリュー】というものがあります。ヴァリューとは付加価値です。さらに一言でいうと【相手に対する貢献】です。
他人に対する貢献ができ、相手がそこに価値を感じてくれた時、その仕事には【ヴァリュー】が生まれる。
仕事の価値を決めるのは自分ではなく相手です。相手がしてほしいと思うこと、相手が期待すること、それに応えるのが仕事になります。
学生のころは消費者目線でよかったのですが、社会人になっても消費者目線でいてはいけません。社会人は【ヴァリュー】を生み出す生産者目線でなくてはならないのです。
あなたの会社が何かのウェブサービスを作っているなら、そのサービスを利用しているユーザーを満足させましょう。
あなたの会社が何か機械を作っているならその機械を利用する人が「作業が効率化できた。コストが下がった」と言ってくれるものをを作りましょう。
どんなに時間を費やした仕事をしたとしても、クライアントを見ない【作業のための作業】をしてはいけません。それはただの自己満足に過ぎないのです。
すごいスキルなどなくても、顧客、消費者、取引先に目線が定まっていれば、クライアントの何らかの役に立つことができるはずです。
スキルがなければ、頑張りで何とかなる範囲のことをきちんとこなしましょう。目線が貢献すべき他者の方向を向いている限りあなたの仕事には価値があるのです。
スピードと質を両立する
「時間をかけないといいものはできない」は嘘であると本書は述べています。
【PDCAサイクル】(P=Plan 計画 D=Do 行動 C=Check 評価 A=Action 対策 を循環させて行動の質を高める考え方) を高速で回す方が質の高いものができます。スピードを追求すると質も上がるということです。
筆者が経験したこととして、ある例えが書かれています。
筆者は最初のプロジェクトで資料を作成していました。見た目を重視するあまり、まず最初に取り掛かった作業として、パワーポイントのナビゲーション機能(目次のような機能)を丁寧に作っていました。
これに対して上司から注意を受けてしまったのです。
「最終的な体裁は大事です。ですが、中身がまるでない、きれいにしただけの資料では、見る人の目はごまかすことできません。作業において最初に取り掛かるのは中身なのです。」
「Quick and Dirty を心がけてください直訳すれば素早く、汚くということです。」
この上司からの言葉は、時間の観点から理にかなっていることです。大枠を決めるのには汚くてよいのです。重要なのは仮説検証のサイクルを高速で回すことです。とにかくラフでいいので大まかな答えを見つけることを最優先とするのです。
時間をかけて完璧なものを目指すよりも、多少汚くてもかまわないのでとにかく早く作ること。出来は悪くとも早く仕上げた方が良いということです。
フォロワーシップを発揮する
部下が発揮できるリーダーシップとして【フォロワーシップ】というものがあります。リーダーがある提案をしたとしましょう。勇気をもって最初の提案者となるのが、リーダーの役割です。その時部下は何ができるのでしょうか?
——例えば、リーダーが発した提案に賛同すること。イエスマンとは違い提案を理解し、それを実現するために自分で賛同の意見を示して「これに参加しようよ」と勧めることができます。
本書にはある動画の例えがあります。その動画では、ある一人の男性が日中の公園の芝生で変な踊りを始めます。たった一人で黙々と踊っています。彼が勇気をもって踊りを始めた、最初の提案者でリーダーです。
この段階ではたった一人なので周囲に影響はありません。周囲からはただの変人のような目でしか見られません。
しかし、2人目がそれに参加したことで事態は動きます。2人目がその男のそばに駆け寄り、一緒になって踊り始めたのです。ほどなくして3人目4人目が加わり、数百人の人が踊り始めました。たった一人の男が始めた踊りが数百人を巻き込むムーブメントになったのです。
この例が言いたいことは、1人目のリーダーはとても勇気がいる行動を始めたのですが、着目すべきは2人目に踊りだした人の勇気です。2人目の彼は、誰の指示があったわけでもないのに、自分の判断で男の元に駆け寄り踊りはじめました。
この2人目の行為こそが、最初に踊った男を単なる変人からリーダーに変えたのです。ムーブメントはリーダー一人から生まれるものではありません。リーダーと同じくらいに最初のフォロワーも大事なのです。
【フォロワーシップ】は部下としてのリーダーシップ。良きチームには良きフォロワーがいるものです。