【読書感想】『人は聞き方が9割』を読みました

人は聞き方が9割 永松 茂久/著

 


 身近な人としゃべるときにどうしても自分の考えを押し付けてしまうことがあったのでその反省から読みました。

 

 自分の身近な人に悪い食習慣があって、自分には「こうあってほしい」という願望がありました。ある日、その身近な人の悪い食習慣がとても目についたのでつい健康のためと言ってアドバイスしてしまいます。

 これは言ったところで「なかなか聞き入れてもらえないだろうな」と日ごろは思っていましたが。勢いからついしゃべってしまい。案の定あまりいい反応ではありませんでした。

 

 これは内省のためもコミュニケーションは「もっと日ごろから意識しておかなくては!」となったわけです。


 良い習慣であっても、「こうあってほしい」はなかなか聞き入れてもらえません。その人のためといっても、アドバイスがバッドコミュニケーションであるのは承知しているのです。

 

 ついついしゃべってしまう自分を【聞くこと】に意識させることができる定期的に読み返したい良書です。もともと話すこと自体が苦手意識があった自分でも、「話上手にならなくてもいい」と勇気をもらえます。

 


重要と思った箇所の抜粋

 「聞く人」はうまくいく

人間は本来話したい生物である

 「人は誰もが自分のことが一番大切であり、自分に一番興味がある生き物です。」

 「人は自分のことをわかってくれる人を好きになります。」
 自分の思いを口にすることはつまりは【話す】ということです。人は本来話したい生き物で、多くの人が【聞き手】を求めています。つまりはその話したい気持ちを抑えて【聞き手】に徹することで、会話はうまくいくのです。

 

 

コミュニケーションに対する思い込み

 人といいコミュニケーションを取ることに難しいテクニックはいりません。口下手だからと言っていいコミュニケーションが取れないわけではないのです。

 多くの人が間違っている思い込みとして「話す方が会話の主導権を握っている」というものがあります。

 しかし、本当の意味でコミュニケーションが上手な人は「本来人間は話したい生き物である」ということをよく理解しています。コミュニケーションの上手な人は一方的に自分の論理を話さず、うまく聞き手に回ります。つまりは本当の会話の主導権を握っているのは【話す側】ではなく【話させる側】であるのです。
 

 

 人に好かれる聞き方

 聞き方がうまい人が普段からやっている自然と安心感を与える聞き方があり、本書では「魔法の傾聴」として5つの要点をまとめています。「目」「耳」「体全体」「心」多くの感覚を使って相手の話を聞くようにします。

 

表情

「世界共通言語は英語でなく、笑顔だ」コミュニケーションの基本は、まずは笑顔を作ることです。コミュニケーションで最も大事なことは共感と安心感を与えることであり、特に初対面の相手にはまず笑顔を出すことを常に心がけましょう。

 注意すべき点としては【相手の感情に表情を合わせる】ことです。相手がつらいときにいつでも笑顔とニコニコしながら話を聞いてしまうと相手は気持ちがわかっていないと感じてしまいます。相手の話の内容に合わせた表情を意識しましょう。

 

 

うなずき

 【話を聞く】を黙ってノーリアクションにしてはいけません。うなずくことは相手を肯定するというための一番のリアクションです。そして、うなずきの深さを変えることで会話の中で相手をリードすることができます。
 また、普段は【弱】、相手が感情を込めたときに【中】、自分自身も納得したときは【強】といった具合に、うなずきに強弱を使い分けることで相手に気持ちのいい会話を引っ張りだすことができます。

 

 

姿勢

 聞くときの姿勢として腕組やふんぞり返った姿勢では、威圧感や疎外感を与えるようなことになってしまいます。相手との楽しい時間を過ごしたい場合は前傾姿勢を意識すると好印象を与えることができます。

 また、人の話を聞くときはなるべく携帯スマホをおくことです。大切な人との会話を盛り上げたいとき「ながら聞き」にしないことが大切です。

 

 

笑い

 会話において笑いを取ることは重要ではありません。むしろ必要なことはいかに相手の話に笑うことができるかです。人は自分の話を笑って聞いてくれる人のことを好きになります。

 世の中には笑わせることが上手な人がいますが、それにはネタ集めと訓練などの高いスキルが必要になります。ともに笑うといったシンプルなことで相手に共感していく方が、コストパフォーマンスは上がります。リアクションが上手な人は、相手の言った小さなことを何倍にもして笑って返すことに長けています。

 

 

感賛(感嘆+称賛)

【感嘆】と【称賛】を合わせて【感賛】としています。つまりは相手の会話に対して【驚き】と【ほめる】ことを一緒にしたリアクションを取ることを指します。

感嘆は「わあ」「へー」「おー」などの驚きの表現。そして称賛は「すごい」「素敵」「いいね」など相手をたたえる言葉です。例えば

 

「最近会社で役職が上がったんだ」→「わあ、すごいじゃん!よかったね!」

「最近犬を飼い始めたんだ」→「おー、犬か。いいね!かわいいよね!」

 

のように使います。特にリアクションの中で大事にすべきことはこの【感賛】で、ここに思いを乗せることで相手の会話のテンションがほとんど決まります。

 

 人に嫌われない聞き方

 コミュニケーションはまずは「嫌われない」ことが先決で「好かれる前にまず嫌われないこと」が大切です。相手に好かれる前にまずは相手の心に安心感を与え、不安を取り除くこと。そのために、まずは「やるべきこと」よりも「これはやらない」と決めることが大切です。

 

 

違う意見の人を否定しない

 人はさまざまな価値観を持っています。自分にとっての常識が相手にとっても常識と思っていると、指摘したくなるのは当然のことです。しかし、「それは違う」とできるだけ言わないようにしましょう。それは【間違っている】ではなく【自分とは違う】なのです。相手を否定するのではなく、相手との価値観の違いを理解しましょう。

 

 

正論を押し付けない

 世の中には正論というものがあります。この正論を通しすぎると相手は自分自身を否定された気分になります。正論を押し付けられると、いくら正しくても人は反発するものです。そうではなく、相手の考え方、そして感情を知ることから始めましょう。

 

 

マウンティングしない

 人は無意識のうちに相手より優位に立とうとする心理を持っています。無理やりいい話をしようとしたり、人になじみのない専門用語や横文字を使ってしまいます。日常生活のコミュニケーションの場で、相手の置かれた立場や目線を考えずに、相手が理解できないようなことばを使うのは控えた方がよいです。

 「この人の話はつまらない」と思われることはあっても「わあ、この人って物知りなのね」とリスペクトされることはまずないと覚えておきましょう。

 

 

結論を焦らない

 日常会話では結論は求めないことが大切です。 

 人にはそれぞれ話す力のレベルがあります。上手にものを伝えることができる人や、話がまとまらない人など様々です。特に会話が苦手な人に出会ったときには心がけることがあります。それは極力、結論を求めたり「何が言いたいのかわからない」という表情はしないことです。
 「要するに」とか「一言でいうと」と自分のテンポでまとめてしまうと、会話が苦手な人はどうしていいのかわからなくなってしまいます。話がまとまらない相手にプレッシャーを与えないように心がけましょう。

 

 

答えや解決策をはじめから言わない

 例えば人が悩みを打ち明けてきたときに、いきなり「それはこうすれば解決するんだよ」と答えを言うのは意外にいい方向に進みません。

 相手は気持ちをわかってほしいと願っているものです。「あなたはどうなったらうれしい?」と相手自身が解決策を自分の中から見つけ出せるようにした方が、納得がいく答えを出せます。相手が自分で解決策を見つけ出せるように話を聞きましょう。

 

 

話をさえぎらない

 会話の途中でもちろんあなたも話したいことはあると思います。しかし、コミュニケーションをうまく進めるには、話の流れに沿わない質問をしない。そして、途中で話題を変えないようにしましょう。あくまで話の流れに乗った転換や質問につなげていくように心がけるようにしましょう。

 

 

干渉しすぎない

 パートナーや子供など、身近な人に対してつい熱くなってしまう人が、注意しておく聞き方です。大切な人のことは心配でなんでも聞いて把握しておきたいという心理はわかります。しかし、相手の言いたくないことを取り調べるように聞いてしまうと、相手は自分の殻にこもってしまいます。
 相手に質問をするのではなく、自分の感情を伝えるようにして、いい距離でコミュニケーションを取っていくことが大切です。