【読書感想】『極める 愉しむ 珈琲事典』を読みました

極める 愉しむ 珈琲事典 西東社編集部/編集


 自分は今まで、コーヒーをなんとなく、おいしいから、カフェイン接種眠気防止のために飲むことが多かったです。しかし、テレワークでおうち時間が増えたことによりインスタントコーヒーや缶コーヒーをやめて、粉のドリップ、さらにはミルで挽いて飲むようになったのです。

 最近は食事にこだわりを持ったり、生活のあらゆるところを深堀りしてきました。これら本でより深い知識を求めた結果でもあります。

 インスタントや缶コーヒーを購入する方が手軽ではありますが、コーヒーは【プロセス】を楽しむものでもあるなと思います。ただ飲むというところを特にコーヒーは淹れ方、挽き方、豆の種類など楽しみ方がたくさんあります。

 コーヒータイムをよりリラックスのできるものにするために、これらの【プロセス】を楽しみたいです。

 

 

 本書はコーヒーに関して初心者がわかりやすく理解するための知識が書かれています。コーヒー豆の【栽培方法】【精製方法】【焙煎方法】【挽き方】【淹れ方】【アレンジ】【歴史】などです。それぞれしっかりと写真付きで書かれているのでイメージがしやすいです。初心者向けですがコーヒーをこれからより深く楽しみたい方は読んでみてください。

 


【コーヒー豆の種類】

コーヒー豆とは何か

 コーヒー豆とは豆と呼ばれていますが【コーヒーノキ】という植物で、コーヒー豆になるのは【コーヒーチェリー】と呼ばれる実の中にある種子になります。

コーヒー豆の品種

 世界で流通しているコーヒー豆の約7割が【アラビカ種】約2割強が【カネフォラ種】残りが【リベリカ種】これら3つをコーヒー3原種と呼びます。

  • アラビカ種……豊かな香りと酸味が味わえる
  • カネフォラ種……苦みが強くカフェインが多い。
  • リベリカ種……苦みが強く、主にヨーロッパで消費される
代表的なコーヒー豆の銘柄
  • 【ブラジル】酸甘苦のバランスNo1
    酸甘苦のバランスNo1、好みがわからない人は、まずはバランス重視のブラジルを試そう。

  • 【ブルーマウンテン】まさにバランス重視の代表格
    酸味、甘味、苦みをバランスよく持っていて、上品な味わいで飲みやすいと言われています。

  • 【コロンビア】コク代表
    力強いコクと程よい酸味、マイルドな甘みを感じられます。バランスの良いコーヒーでブレンドのベースに使われることが多い。

  • キリマンジャロ酸味の代表
    酸味の代表として語られることが多い。甘酸っぱい香りとフルーティな酸味が特徴です。

  • グアテマラ甘味の代表
    甘い香りが特徴で程よいコクが感じられる。キレのいい後味が華やかな印象を与えます。

  • 【マンデリン】苦味の代表
    深いコクと苦みがあり、パンチの強い濃厚な味わいはエキゾチックな味とも表現されます。

  • モカマタリ】フルーティな味わい
    フルーティな酸味と華やかな香りがあり、酸味の中にはほのかな甘みを感じる。苦みはあまりありません。

  • 【ハワイコナ】柔らかな酸味と気品を感じさせる
    苦みは少なく、柔らかな酸味と、甘い香りで飲み口はさわやか。生産量が少なく希少価値がある。

 

【焙煎の種類】

 コーヒー豆は、生豆に加える熱の量で色や香味が変化します。この段階を焙煎度合いと呼びます。焙煎が弱い【浅煎り】焙煎がすすむにつれて【中煎り】【深煎り】となっていきます。
 一般的には焙煎が進むにつれて、酸味が強いものから苦みが強いものに代わっていく特徴があります。

  • 【浅煎り】ライトロースト・シナモンロースト
    コーヒーらしい香りが出始めた状態ですが飲むには不向きな状態です。

 

  • 【中煎り】ミディアムロースト
    浅煎りで飲み物として用いられるのは通常このあたりから。豆本来の味や香りを生かしたいときに用いられます。
    <適した銘柄>モカキリマンジャロなど


  • 【中煎り】ハイロースト・シティロースト
    ミディアムローストよりさらに焙煎した状態です。ミディアムローストと比べて香味が強くなり、抽出すると透明感のある液体の中に酸味とかすかなコクが感じられます。
    <適した銘柄>ブラジル・コロンビアなど


  • 【深煎り】フルシティロースト・フレンチロースト・イタリアンロースト
    しっかりとしたコクと柔らかな苦みが感じられます。中高産地の豆を選ぶと独特な風味が強調されます。
    <適した銘柄>マンデリン・グアテマラなど


【豆の挽き方】

 豆を挽く際はミルやグラインダーといった器具を使います。大きく分けると【粗挽き】【中挽き】【細挽き】とエスプレッソ用の【極細挽き】の4種類があります。使用する抽出器具に合った適正な挽き方をすることが大切です。
 粒の大きさを粒度と言い、粒度が粗いほど成分が抽出されにくいので、コーヒーの濃度も落ちます。逆に言えばコーヒーの濃度は薄くなりますが、雑味も出にくいとも言えます。

  • 【粗挽き】ザラメ糖程度の大きさ
    抽出にある程度時間がかかります。フレンチプレスなど粉を湯につけて抽出する侵漬式にも向きます。苦みの成分が抑えられ、雑味も出にくいです。
    <適した器具>ネルドリップ・フレンチプレスなど

  • 【中挽き】グラニュー糖よりやや大きい
    最も一般的な粒度で、苦みや酸味のバランスのとれた味わいになります。
    <適した器具>ペーパードリップネルドリップ・サイフォンなど


  • 【細挽き】グラニュー糖程度の大きさ
    粒度が細かく湯に触れる表面積も大きいので成分が抽出されやすいです。濃厚な味わいになります。苦み系のコーヒーと相性がいいです。
    <適した器具>ペーパードリップ・サイフォン・水出しなど


  • 【極細挽き】パウダー状
    ほぼパウダー状で濃厚なコーヒーを抽出するのに最適です。エスプレッソマシンやマキネッタに使われます。家庭用のミルで挽くのは難しく、専用のミルが必要になります。
    <適した器具>エスプレッソマシン・マキネッタなど

 

 

【抽出の方法】

 コーヒーを抽出する際の原理は大きく【透過式】と【浸漬(しんし)式】に分けられ、おおよそどちらかに分類されます。【透過式】は、コーヒーかなに湯を通過させて成分を抽出する方法です。一方の【浸漬式】はコーヒー粉に湯を浸して成分を抽出する方法のことでこちらの方が簡単なので初心者でも安定した味になります。

  • ペーパードリップ透過式
    日本で主流のペーパードリップは、ドリッパーにペーパー(紙)フィルターをセットして湯を注ぎコーヒーを抽出するスタイル。ペーパーフィルターがコーヒーの油分や雑味を吸収してくれるのでクリアな味わいになります。
    初心者はまず、安定したドリップができるように豆や粉の量、湯量を一定にして練習するといいでしょう。その際、温度計や計測機器があると便利です。

  • ネルドリップ透過式
    ネルという布のフィルターを使って抽出する方法。ペーパードリップと比べて目が粗いため、様々な成分が抽出されやすく、まろやかでコクのあるコーヒーになります。

  • 【サイフォン】浸漬式
    医療用品に着想を得て発明されたサイフォン。フラスコやアルコールランプなど化学の実験を思わせる器具は見た目も美しく、絵になります。高温かつ短時間で抽出するため、香りが良いコーヒーに仕上がるのも魅力です。

  • 【フレンチプレス】浸漬式
    フランスで開発され、主にヨーロッパで普及しています。粉を湯に浸して抽出するというシンプルな手法で誰が淹れても味のブレが少なく、初心者でも手軽に扱えるのが魅力です。金属フィルターを使用するため、ペーパードリップなどと異なり、コーヒーの油脂(コーヒーオイル)をしっかり抽出します。香り豊かで丸みのある味に仕上がります。


  • 【マキネッタ】浸漬式
    直火にかけて、下部のフラスコ内の湯を沸騰させることで蒸気圧が発生。押し上げられた湯が、粉を通って上部のポットへ移動し、コーヒーが抽出されます。火を止めるタイミングを音で判断するなど初心者にはやや難しい抽出方法です。マキネッタで淹れたコーヒーはモカコーヒーと呼ばれ、コクがありエスプレッソに近い濃厚な味わいに仕上がるのが特徴です。

 

 

【読書感想】『コンサル1年目が学ぶこと』を読みました

コンサル一年目が学ぶこと 大石哲之/著 


 Amazon primeのおすすめからなんとなく気になったので読んでみましたがとても勉強になった1冊でした。

 本書は、どんな社会人にも必要な、基礎的なビジネススキルをしっかりと学ぶことができます。タイトルにあるコンサルタントという職業でなくともです。

 

 自分は、社会人なりたての時は、ただただ【絵が描きたい】という欲求だけで生きてきた感じがあり、ビジネススキルも何も学ばずに、絵の能力だけでキャリアを重ねてきたところも大いにあります。「いい絵が作ることができるなら問題ないだろう」とただただ思ってベーシックスキルをおろそかにしていたことは否めません。

 

 しかし仕事は1人ではできません。人とのつながりやコミュニケーションは結局どんな仕事でも必要であり、そこをおろそかにすれば、たとえいい絵が作れても仕事としては成り立たないものです。

 

 コミュニケーションは結論から話す。納期は守る。都合の悪いことは曖昧にしないなど。言語化してしまえばごくごく当たり前のことです。しかしその当たり前すらしっかりできていなかった過去があるので、本書に書かれていることはとても身に沁みます。
 

 社会人として1年目でなくとも、自分のようにキャリア中間で読んだとしても、良い気付きがあると思います。ビジネスの基礎力、人に伝える良技術など、社会人としての地固めにとても良い1冊です。

 


本書から学べる要素をいくつか抜粋。

 本書にはほかにもたくさんのビジネスで抑えておきたい学びがあります。気になったらぜひ本書を手に取ってみてください。

【コンサル流話す技術】

結論から話す

 「まず、結論から話しなさい。」これが最も役に立つコミュニケーションの鉄則です。

 ——例えば

「この液体とこの液体を混ぜたら〇〇ができました。【結論】

なぜそういう現象が起きたのかというと、次のような理由からです…」

 

このようにまず、結論から話し、続けて詳細を明らかにします。

 結論から話すメリットはものごとがシンプルに明確になるということです。それにより短い時間で相手に必要なことを伝えることができます。

 

PREPの型に従う

 Point=結論
 Reason=理由付け
 Example=具体例
 Point=結論の繰り返しで締める

この「型」を意識して整理して話すととても伝わりやすいです。

 

例えば、本書についてPREP法で説明してみます。

 

「本書の目的は、私がコンサルタント一年目に学んだ、15年後も使える普遍的なスキルを読者の皆さんに身に着けてもらうことです」

「なぜ、コンサルタント一年目なのか?まずコンサルタントは他の職業に比べて整理された方法論を学ぶことができます」

「例えば、結論から話すというのがその事例です。結論から話すとは……」

 

といった感じです。普段しゃべるときも思いついたことから話すことをやめて、要点を整理して話すようにしましょう。

 

相手に理解してもらえるように話す

 相手に理解してもらえるコミュニケーションにはコツがあります。

 

・まず「相手は何も知らない」という前提で話す

・相手の理解度を推し量りながら話す

・相手の仕草を観察して、理解度を察知する

 

 

・まず「相手は何も知らない」という前提で話す

 相手がその専門であっても「このくらいは知っているだろう」「こんな簡単な話を説明したら逆に怒られるのではないか」という考えをすることは無用です。
 小難しい話をすれば「まったく理解できない」話になってしまいます。自分では常識と思っていることでも相手は何も知らないという前提で、ゼロから話す。

 

 

・相手の理解度を推し量りながら話す

 相手が何も知らないという前提で話し始めたものの本当に話がつうじているのでしょうか。

 相手がその場で「ここがわからない」などと指摘してくれたり質問してくれればいいのですが、面と向かってわからないとは言いません。理解しているように見えても、実のところ全く理解していないことの方が多いです。

 聞き手は話がわからない場合【無言】になることが多いです。相手が無言でいたらそれは理解していないサインだと思ってください。

 

・相手の仕草を観察して、理解度を察知する

 相手の理解度を測るには、相手の仕草をひたすら観察することです。

 例えば、相手が資料を説明するのページを見ていたり、ドンドン先のページをめくって読み進めている。こちらを見ず、隣の人を見ている。「大体わかりました」「おおよそわかりました」という曖昧な返答をすることなどです。

 これらは理解していないシグナルです。相手の理解度を示すようなシグナルを意識的に拾って、説明のペースを落としたり、わかりにくいところを再度説明したりと臨機応変に行えるようにしましょう。

 

 

【プロフェッショナル・ビジネスマインド】

ヴァリューを出す

 コンサルタントのよく使う言葉に【ヴァリュー】というものがあります。ヴァリューとは付加価値です。さらに一言でいうと【相手に対する貢献】です。

 他人に対する貢献ができ、相手がそこに価値を感じてくれた時、その仕事には【ヴァリュー】が生まれる。

 仕事の価値を決めるのは自分ではなく相手です。相手がしてほしいと思うこと、相手が期待すること、それに応えるのが仕事になります。

 

 学生のころは消費者目線でよかったのですが、社会人になっても消費者目線でいてはいけません。社会人は【ヴァリュー】を生み出す生産者目線でなくてはならないのです。

 

 あなたの会社が何かのウェブサービスを作っているなら、そのサービスを利用しているユーザーを満足させましょう。

 あなたの会社が何か機械を作っているならその機械を利用する人が「作業が効率化できた。コストが下がった」と言ってくれるものをを作りましょう。

 どんなに時間を費やした仕事をしたとしても、クライアントを見ない【作業のための作業】をしてはいけません。それはただの自己満足に過ぎないのです。

 

 すごいスキルなどなくても、顧客、消費者、取引先に目線が定まっていれば、クライアントの何らかの役に立つことができるはずです。

 スキルがなければ、頑張りで何とかなる範囲のことをきちんとこなしましょう。目線が貢献すべき他者の方向を向いている限りあなたの仕事には価値があるのです。

 

スピードと質を両立する

 「時間をかけないといいものはできない」は嘘であると本書は述べています。

PDCAサイクル】(P=Plan 計画 D=Do 行動 C=Check 評価 A=Action 対策 を循環させて行動の質を高める考え方) を高速で回す方が質の高いものができます。スピードを追求すると質も上がるということです。

 

 筆者が経験したこととして、ある例えが書かれています。

 

 筆者は最初のプロジェクトで資料を作成していました。見た目を重視するあまり、まず最初に取り掛かった作業として、パワーポイントのナビゲーション機能(目次のような機能)を丁寧に作っていました。

 これに対して上司から注意を受けてしまったのです。

 「最終的な体裁は大事です。ですが、中身がまるでない、きれいにしただけの資料では、見る人の目はごまかすことできません。作業において最初に取り掛かるのは中身なのです。」

 「Quick and Dirty を心がけてください直訳すれば素早く、汚くということです。」

 

 この上司からの言葉は、時間の観点から理にかなっていることです。大枠を決めるのには汚くてよいのです。重要なのは仮説検証のサイクルを高速で回すことです。とにかくラフでいいので大まかな答えを見つけることを最優先とするのです。

 

 時間をかけて完璧なものを目指すよりも、多少汚くてもかまわないのでとにかく早く作ること。出来は悪くとも早く仕上げた方が良いということです。

 

 

フォロワーシップを発揮する

 部下が発揮できるリーダーシップとしてフォロワーシップというものがあります。リーダーがある提案をしたとしましょう。勇気をもって最初の提案者となるのが、リーダーの役割です。その時部下は何ができるのでしょうか?

 

——例えば、リーダーが発した提案に賛同すること。イエスマンとは違い提案を理解し、それを実現するために自分で賛同の意見を示して「これに参加しようよ」と勧めることができます。

 

 

 本書にはある動画の例えがあります。その動画では、ある一人の男性が日中の公園の芝生で変な踊りを始めます。たった一人で黙々と踊っています。彼が勇気をもって踊りを始めた、最初の提案者でリーダーです。

 この段階ではたった一人なので周囲に影響はありません。周囲からはただの変人のような目でしか見られません。

 しかし、2人目がそれに参加したことで事態は動きます。2人目がその男のそばに駆け寄り、一緒になって踊り始めたのです。ほどなくして3人目4人目が加わり、数百人の人が踊り始めました。たった一人の男が始めた踊りが数百人を巻き込むムーブメントになったのです。

 

 この例が言いたいことは、1人目のリーダーはとても勇気がいる行動を始めたのですが、着目すべきは2人目に踊りだした人の勇気です。2人目の彼は、誰の指示があったわけでもないのに、自分の判断で男の元に駆け寄り踊りはじめました。

 この2人目の行為こそが、最初に踊った男を単なる変人からリーダーに変えたのです。ムーブメントはリーダー一人から生まれるものではありません。リーダーと同じくらいに最初のフォロワーも大事なのです。

 

 フォロワーシップは部下としてのリーダーシップ。良きチームには良きフォロワーがいるものです。

 

 

 



 

【読書感想】『AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣』を読みました

AI分析でわかった トップ5%リーダーの習慣 越川 慎司/著


 リーダーシップ、マネジメントに興味がわき、まさにビジネスに寄った考えの本をよんでみたくなりました。

 本書はAI分析でたくさんの会社からその業績が高いトップ5%以内に入るリーダーの習慣がどのようになっているかを分析した本になります。彼らがどういった仕事の取組みかた、考え方をしているかが書かれています。

 

 そして、本書がコロナ後に書かれた本であることも結構重要な点です。今後変化の激しい社会が背景にあること、そしてテレワークが主体での仕事への考え方が学べます。

 

 とても面白いのがトップ5%社員には業種は違えど共通点が多くあります。1つ1つのコミュニケーションがとても共感を重視したものであったり、時間に対する考え方はとても余裕を持つようにしていたり、他にも話し方や歩き方まで、様々な角度のトップ5%リーダーの特徴を知ることができます。

 

 非常に勉強になる本で、自分も彼らトップ5%リーダーの考え方を理解して、日々の生活や仕事に取り入れていきたいと思える良書でした。

 


本書からたくさんの学べる要素がありますが、特に面白く特徴的だった部分の抜粋。

【トップ5%リーダーの意外な特徴】

歩くのが遅い

 2020年1~3月期、5社に協力していただき、人の流れが活発なフロアやオープンスペースにカメラを設置して調査したところ、明らかになったのは移動スピードの違いです。

 トップ5%リーダーの59%が明らかに移動スピードが平均よりゆっくりと移動していました。理由を追求すべく本人たちにヒアリングしたところ、「自分ではゆっくり移動しているとは思いませんでした」など反応が多く、意識的にゆっくり歩いているわけではありませんでした。

 

 理由としては明確ではありませんがアンケートで「意図的に時間と気持ちの余裕を作るようにしている」と回答する人が58%いたので歩くスピードに反映されているのだと思います。

 

ほかにも会議が予定通り終わらせる、もしくは早く終わらせるような会議改革に取り組む5%リーダーが一般的な管理より3倍近く多かったのです。

・30分の定例会議を25分に設定
・意思決定の会議は参加人数を絞る


など時間と気持ちに余裕を持たせる改革を進めていました。そうしたことがゆったり余裕を持った歩き方に影響を与えていたのではないかと推測されます。

 

 メンバーから気軽に声をかけやすいことを良しとする5%リーダーは、ゆっくりと歩くことで、時間と気持ちに余裕をもち、話しかけられやすい環境を作っているのでしょう。

 

 

話が短い

 5%リーダーの1on1ミーティングの様子を分析すると、5%リーダーのうち58%は発言回数は多いが、発言時間は短いことがわかりました。この58%の人は自分が話すよりも相手のメンバーの方が長く話していました。逆に一般的な管理職は自分が7割話し、メンバーに3割くらいの話をさせていました。

 

 【コンパクトに話す】理由として、5%リーダーは自分のことを話さず、メンバーに自分自身のことを考えさせる時間を作って、その気付きや学びを思う存分話してもらうことを狙っていました。

 

コンパクトな質問を多くして相手に気持ちよく、そして長く話させます。

 

 

「どうですか?」

と冒頭で聞くことはなく、

 

「例えば私は●●ですが、あなたはどうですか?」

 

のように自分の経験や感想を軽く話してから質問をして、メンバーが答えやすいように工夫していました。長々と自分の経験を話すのではなくあくまで相手が回答しやすいようなサンプルを提示していたのです。

 

 このような【長く話す】ことよりも【コンパクトにまとめて思いが伝わる】ことを意識して、話していました。

 相手が気持ちよく回答しやすいような配慮が、短く話すことに結果的につながっていたのです。

 

メンバーにかなわないと思っている

 5%リーダーの48%は「自分がメンバー全員の能力を上回っている必要はない」と言っています。一方、一般的な管理職では「自分がメンバー全員の能力を上回っている必要はない」といったのは25%以下になります。

 

 5%リーダーは現場のメンバーが自分で考えて自走する組織を目指すうえでリーダーがすべての能力を担って動く必要なないと考えているのです。

 5%リーダーは自らの業務遂行高能力を高めることをあきらめています。自分の能力を高めることより、メンバーの能力を高めるためにチーム全体の調整をすることが自分の責務だと思っています。

 

 また、メンバーに対して上から目線でマウンティングしてしまうと、上下関係ができてしまうので腹を割って話をすることができません。まずは雑談・相談(雑草)しあう関係性の構造を目指し、上から眺めるのではなくメンバーの横に並びフラットな関係を構築しようとしているのです。

 

成果を出し続ける

 5%リーダーは短期で成果を出すこと以上に長期で成果を出し続けることを目指していることがわかりました。

 短期的な成果をだすことであれば能力のある人をサポートして組織の目標を達成できることもあるでしょう。

 

 しかし、若手社員や年配の社員が混在しているチームで成果をだし続けるには未熟なメンバーであっても、いずれ成果を出してもらうことが必要です。

 もし優秀なメンバーが組織を去っても成果を出し続ける組織でなければならないということを5%リーダーは念頭に置いています。そのため評価制度にジョブ型(成果主義)だけでなく、人間関係を重視したメンバーシップ型(年功序列)も必要だと5%リーダーは考えているようです。

 【短期で成果を出す】ではなく【長期で成果を出し続ける】5%リーダーが組織の中で果たそうとしている役割なのです。

 

 

【トップ5%リーダーの自分磨き】

内省タイムで心身をコントロールする

 5%リーダーは振り返る時間を確保するために仕組み化をしていました。リーダーでないトップの5%社員は、無意識に【内省(リフレクション)】をしているのですが、トップ5%リーダーは、手帳やカレンダーにあらかじめ【内省(リフレクション)】の予定を書き込んでいたのです。

 5%リーダーは緻密に計画し自分の予定に組み込み、内省(リフレクション)の結果をメモに残していました。

 

 1週間の内、10分か15分のすきま時間をスケジュールを作り、予定カレンダーにあらかじめ空白時間を確保していました。そこでコーヒーを飲んだり、タバコを吸いながら仕事を振り返りをしていました。


 5%リーダーは成果を出し続けることが目的なので、【内省(リフレクション)】も日常業務の一環としてなるべく仕組み化して、自分のやる気や疲れに依存することなく行動を継続し続ける工夫をしていました。

 

人からチャンスをもらう

 チャンスは人がもたらすものと5%リーダーは信じています。運がいいとか悪いとかそういうものではなくチャンス(=機会)だと捉え、それに多く触れることを心がけています。人とのかかわりを意図的に増やし、人間関係を広げていくことで偶然のチャンスを引き寄せているのです。

 

——例えば、

会社の廊下ですれ違った隣の部門のリーダーに偶然話しかけられて雑談したことがその後の人事異動に影響を及ぼしたり。

 たまたま雑誌で興味を持ったオンラインセミナーに参加してみたら、自分がワクワクするキャリアモデルに出会ったり。

 読書会という読書の感想を共有しあう場をオンラインで作って、様々なジャンルの本のテーマで読書会を開催してみたら、自分の仕事の仕方を変える人が出てきたり。

 

 何が起こるかわからないことに時間を費やすことは一見無駄のことのようにも見えますが、種をまかないと芽が出ないことも確かです。

 ビジネスにしても、キャリアにしても様々なチャンスが転がっていると5%リーダーは信じています。

 

 

【トップ5%リーダーのチーム活性化アクション】

小さな意識改革を目指す

 5%リーダーは【意識改革はできない】と思っており、意識が変わるのを待っていたら5年も10年もかかるので、先に行動を変えて結果的に意識を変えるというプロセスを理解していました。組織全体の生産性を高めることを考え、自分だけでなくメンバーたちの行動改革を促すことに注力していました。

 

 そこで5%リーダーが工夫していたのは、たとえメンバーが失敗しても責めることなく行動の回数を増やすことです。より多く行動した方が学びは多く、次に活かせると信じているのです。【PDCAサイクル】(P=計画 D=行動 C=評価 A=改善の順番で行動の質を高める概念)を何度も回すことで行動を修正し、最短距離で成功にたどり着くようにしていました。

 とはいえ、メンバーは新たな挑戦を躊躇するものです。

 そこで精神的にハードルの低い、ちょっとした行動をメンバーにやってもらい1対1の対話で感想を聞き、フィードバックをすることで小さな意識改革を生み出すことを目指していました

 

 例えば

「これをやった方がいいかも」

「来月1回だけ早起きしてみれば?」

 

というちょっとした気持ちよさで興味をそそるように行動を促していました。背中を押すと同時に小さな実験を提案するのです。

 ちょっとした達成感を味わうことで行動の障壁が大幅に下がることを72%の5%リーダーが理解していました。

 

心理的安全性、雑談をする

 【心理的安全性】があるチームは出金をしていても、テレワークをしていてもチーム目標を達成しやすいことは2019年から2021年の調査で判明しています。

 【心理的安全性】とは何を話しても自分は安全であるという心理状態です。

 過剰な気づかい、忖度は生産性を落とします。気づかいをしながらチームミーティングに臨む状態だと、自ら率先して意見や質問をするメンバーはいません。「発言しない方が安全である」と考えてしまっているからです。

 

 5%リーダーは【ホウレンソウ(報告・連絡・相談)】よりもまず、【ざっそう(雑談・相談)】を目指しメンバーと雑談・相談しあえる関係を作ろうとします。

 ある情報通信サービスおよび製造業の5%リーダーは、チームの定例会議で冒頭の2~3分の雑談をルール化していました。仕事とは関係ない話をして場を盛り上げるのです。

 

例えば「お昼って自炊しているの? コンビニで買ってくる派?私はコンビニの塩おにぎりがすきでね…」などカジュアルな話題を振っています。

 

 5%リーダーは、雑談をすることが目的なのではなく、雑談を通じメンバーの共通点を探っているので。何か共通点を見出せたら一気に距離を縮めることができるからです。 

 会議冒頭の雑談を振る役はチーム内で順番に回していました。メンバーたちに会話をリードさせ自らも発言することで【ファシリテーション力(会議をスムーズに進行させる能力)アップ】と【メンバーの孤立化防止】の効果を狙っていました。

 

 

 

【読書感想】『ビジネスパーソンのための 結婚を後悔しない50のリスト』を読みました

 

ビジネスパーソンのための 結婚を後悔しない50のリスト 大塚 寿/著


 私は現在独身ですが、【幸福】と人生の満足感を考えると、結婚を意識した方がいいと思い購入しました。(結婚することにより寿命や人生の幸福度は上がることが知られています。)

 まだしっかりとした相手がいるわけでもなく、結婚の予定も特にないのですが、後学のために新しいジャンルに興味を持つように、ちょっと違ったものを読むようにしています。

 

 本書の感想としては【結婚は家庭のマネジメント】といった認識を持つようになりました。会社のマネジメント、チームのマネジメントと同じような感覚で、夫婦で家庭の共同経営者になることが、結婚後に苦労しないために必要な感覚だと感じました。

 

 今まで結婚は【感情】や【愛】のような側面が強いものだと認識がありました。もちろんそれも大事なのですが、うまく戦略を立てることができれば【会社経営】【起業】に近い感覚で進められるようなものなのでしょう。

 

 自分が実際に経験していないことなので、実感もわかない部分もあります。家庭に長期間向き合い続けることがとても大事で、その【覚悟】と【見えない資産(感情や体験)】などの管理【情報のすり合わせ】など、様々な長期戦略が良い結婚生活には必要だと認識できました。

 


本書の重要だと思った箇所の抜粋

 結婚が人生を左右する理由

なぜ、結婚は人生最大の別れ道なのか

 結婚は、良い意味でも悪い意味でも生活基盤を揺るがすもので、どのような結婚をするかによって、時間やお金の使い方、人付き合い、物の見方その後の人生計画も大きく変わってくるのです。

 結婚で変わることは、「個人」で生きてきた人生から「チーム」で生きることです。自分以外の他者とどう向き合うべきか、いかに予測不能な出来事をマネジメントできるかが、人生を分けるといってもいいでしょう。

 

 

日常生活の連続から生まれる「チリツモ」

 結婚を後悔しているという人たちに多いフレーズは【チリツモ(塵も積もれば山となる)】です。

 家事の分担、金銭感覚の違い、子育て哲学の違い、お風呂の入り方、タオルの使い方、挨拶、返事の仕方までが夫婦関係をギスギスさせ、マイナス評価の【チリツモ】がたまりにたまって離婚に至るケースが多く、たった一つの出来事で離婚に至るケースは少ないようです。

 結婚は日常生活そのものだからこそ、生き方そのものを問われ、そしてさらにはその適否さえもが、フィードバックされるというものだから大変なのです。

 

 

結婚は修正主義から始まる

 自分と異なる考え方や習慣を受け入れる余地があるか、相手との齟齬を自分の変化の原動力とできるかどうかが分かれ道です。お互いの向いているベクトルを繰り返し合わせ続ける努力と工夫が必要なのです。それは【無限のベクトル合わせ】【修正主義】だと言えます。

 他者と向き合うというのは時に自分を否定することになるのでとても大変です。しかし、お互いが【修正主義】の立場を取らない限り、うまくいく結婚などはあり得ないのです。

 

 

結婚は夫婦による【共同経営】である

 結婚は幸せな家庭を作るという【事業】という発想が必要です。単に好き嫌いでは家庭は経営できません。

 経営をしていくうえで大小さまざまな問題が起こります。問題が起こるたびに夫婦間で無限のベクトル合わせをして、問題を解決していきます。これは【事業】の発想と同じで、ステークホルダー(利害関係者)間で問題を解決するようなものです。

 そして家庭であっても事業であっても、無限のベクトル合わせをやめてしまえば破綻してしまいます。

 

 そして、これが【共同経営】というのも難しいところでしょう。男には男の、女には女の役割があるとは言え、家事や育児の分担を巡ってぶつかり始めたときに、どちらかが一方的に言い分を通そうとすると、相手には言いくるめられた感が増幅し、憎悪に変換してしまうかもしれません。

 

 お互い歩み寄って感情や意思を言葉で伝えるコミュニケーション能力、お互いのベクトルを調整するマネジメント能力を用いて、結婚という【事業】を成功させようという発想こそ必要なのです。

 

 結婚で何より大切にしたいこと

仕事ばかりしなければよかった

 仕事を一生懸命にするのは結構ですが、仕事後に家庭のことは一切やる余裕がないという人が多いです。

 どれだけ仕事が忙しくても優先順位の1位に【仕事だけ】をもってきてはいけません。家庭と仕事に優先順位をつけると必ず仕事を【言い訳】にしてしまいます。

 

 家庭行事や育児に関することも「仕事が忙しいから」とできない【言い訳】を用意してしまいます。この解決のためにも、意識の中で家庭と仕事の2つを同列に考えるクセをつける必要があります。

 

 忙しいビジネスマンであっても家庭と仕事のバランスがうまくいっている人は【仕事だけ】にならないように、仮に毎日でなくとも、必ず週一とか隔週とか比較的短いピッチで、定期的に家族と向き合う習慣を作っています。

 どれだけ平日が忙しくても、週末は家族と向き合うことで、夫婦間の不満の【チリツモ】は著しく解消されます。夫婦がお互いの状況を理解しながら調整していけば、どんな人でも必ずその時間は作れるのです。

 

 

相手の価値観をもっと理解しておけばよかった

 交際の段階で性格の合う、合わないはある程度明らかになりますから、結婚を決断した以上は性格の一致不一致はクリアしているはずです。しかし結婚後に「こんなはずじゃなかった」と後悔に至る理由は【相手の価値観の理解不足】によるものです。

 

 仕事観、教育哲学、モラルに関しては価値観が一致するけれど金銭感覚が合わないといったように各カテゴリーにおいて一致するものとしないものがあるはずです。その一致していない価値観を相手に押し付けてはいけません

 自分の価値観や常識を一方的に押し付けてしまったことで、相手にはストレスが溜まってある時点で臨界点を超えて爆発するというのがお約束の破局パターンです。

 

相談や対話などで日々【無限のベクトル合わせ】をしていくことで価値観のずれを修正していくことが必要なのです。

 

 幸せな家庭を作るために知っておきたいこと

結婚して自由がなくなった

 未婚者にとってはお金も時間も自由でなくなるのが結婚ととらえているようです。

しかし、一方で自由というものは失ってはじめてその価値がわかるものです。「自由とはなるものではなく、感じるもの」なのです。束縛から解放されたときの短い時間があるからこそ、自由のありがたみ感じることができます。

 その視点を持つことによって小さな自由や開放感を味わう感性や、感度が磨かれ、より深く自由を楽しむことができるようになるはずです。

 

 

面倒くさがらずに、記念日などを祝えばよかった

 家庭生活を上手に【マネジメント】できる人は毎日ではなくとも、定期的に家族との時間を取るようにしています。結婚の濃さを共有するためには【企画力】が重要です。この【企画力】というものは新しいことに挑戦しなければならず、【面倒くささ】というものがつきものです。

 しかし【面倒くささ】に向き合い、お互いが企画することに前むきであれば結婚生活も常に進化する方向へ進めます。常に新しいことに挑戦して、心からワクワクできますし、イベントを通じて夫婦間の心の距離も家庭内のコミュニケーションも活性化するはずです。

 

 

子供のの教育方針もついて意見が合わなかった

 子育ては結婚における第2フェーズです。夫婦間の問題にさらに育児が加わることで、これまでの溝がさらに開いてしまうことになったり、逆に絆が深まるという両極端の結果を子育てはもたらします。

 

 教育方針として子供の【叱り方】に問題があることが多いです。これは夫婦間の【叱り方】の相違点が関係しています。

 夫婦間の意見の相違を子供に見せてはいけないというところが大切です。どちらかの【叱り方】の意見をどちらかが否定をすると、子どもは混乱し、必ず都合のいい意見を取るようになってしまいます。

 親は子供の前ではどちらかの意見を否定せず、必ず子供のいないところで事前に意見のすり合わせをしておく必要があるのです。意見のすり合わせは非常に難しいものですが、どう育てたいかという内容以上に子供が親の言うことを聞かなくなるという状況を作りださないことがコツです。

 

 

【読書感想】『人は聞き方が9割』を読みました

人は聞き方が9割 永松 茂久/著

 


 身近な人としゃべるときにどうしても自分の考えを押し付けてしまうことがあったのでその反省から読みました。

 

 自分の身近な人に悪い食習慣があって、自分には「こうあってほしい」という願望がありました。ある日、その身近な人の悪い食習慣がとても目についたのでつい健康のためと言ってアドバイスしてしまいます。

 これは言ったところで「なかなか聞き入れてもらえないだろうな」と日ごろは思っていましたが。勢いからついしゃべってしまい。案の定あまりいい反応ではありませんでした。

 

 これは内省のためもコミュニケーションは「もっと日ごろから意識しておかなくては!」となったわけです。


 良い習慣であっても、「こうあってほしい」はなかなか聞き入れてもらえません。その人のためといっても、アドバイスがバッドコミュニケーションであるのは承知しているのです。

 

 ついついしゃべってしまう自分を【聞くこと】に意識させることができる定期的に読み返したい良書です。もともと話すこと自体が苦手意識があった自分でも、「話上手にならなくてもいい」と勇気をもらえます。

 


重要と思った箇所の抜粋

 「聞く人」はうまくいく

人間は本来話したい生物である

 「人は誰もが自分のことが一番大切であり、自分に一番興味がある生き物です。」

 「人は自分のことをわかってくれる人を好きになります。」
 自分の思いを口にすることはつまりは【話す】ということです。人は本来話したい生き物で、多くの人が【聞き手】を求めています。つまりはその話したい気持ちを抑えて【聞き手】に徹することで、会話はうまくいくのです。

 

 

コミュニケーションに対する思い込み

 人といいコミュニケーションを取ることに難しいテクニックはいりません。口下手だからと言っていいコミュニケーションが取れないわけではないのです。

 多くの人が間違っている思い込みとして「話す方が会話の主導権を握っている」というものがあります。

 しかし、本当の意味でコミュニケーションが上手な人は「本来人間は話したい生き物である」ということをよく理解しています。コミュニケーションの上手な人は一方的に自分の論理を話さず、うまく聞き手に回ります。つまりは本当の会話の主導権を握っているのは【話す側】ではなく【話させる側】であるのです。
 

 

 人に好かれる聞き方

 聞き方がうまい人が普段からやっている自然と安心感を与える聞き方があり、本書では「魔法の傾聴」として5つの要点をまとめています。「目」「耳」「体全体」「心」多くの感覚を使って相手の話を聞くようにします。

 

表情

「世界共通言語は英語でなく、笑顔だ」コミュニケーションの基本は、まずは笑顔を作ることです。コミュニケーションで最も大事なことは共感と安心感を与えることであり、特に初対面の相手にはまず笑顔を出すことを常に心がけましょう。

 注意すべき点としては【相手の感情に表情を合わせる】ことです。相手がつらいときにいつでも笑顔とニコニコしながら話を聞いてしまうと相手は気持ちがわかっていないと感じてしまいます。相手の話の内容に合わせた表情を意識しましょう。

 

 

うなずき

 【話を聞く】を黙ってノーリアクションにしてはいけません。うなずくことは相手を肯定するというための一番のリアクションです。そして、うなずきの深さを変えることで会話の中で相手をリードすることができます。
 また、普段は【弱】、相手が感情を込めたときに【中】、自分自身も納得したときは【強】といった具合に、うなずきに強弱を使い分けることで相手に気持ちのいい会話を引っ張りだすことができます。

 

 

姿勢

 聞くときの姿勢として腕組やふんぞり返った姿勢では、威圧感や疎外感を与えるようなことになってしまいます。相手との楽しい時間を過ごしたい場合は前傾姿勢を意識すると好印象を与えることができます。

 また、人の話を聞くときはなるべく携帯スマホをおくことです。大切な人との会話を盛り上げたいとき「ながら聞き」にしないことが大切です。

 

 

笑い

 会話において笑いを取ることは重要ではありません。むしろ必要なことはいかに相手の話に笑うことができるかです。人は自分の話を笑って聞いてくれる人のことを好きになります。

 世の中には笑わせることが上手な人がいますが、それにはネタ集めと訓練などの高いスキルが必要になります。ともに笑うといったシンプルなことで相手に共感していく方が、コストパフォーマンスは上がります。リアクションが上手な人は、相手の言った小さなことを何倍にもして笑って返すことに長けています。

 

 

感賛(感嘆+称賛)

【感嘆】と【称賛】を合わせて【感賛】としています。つまりは相手の会話に対して【驚き】と【ほめる】ことを一緒にしたリアクションを取ることを指します。

感嘆は「わあ」「へー」「おー」などの驚きの表現。そして称賛は「すごい」「素敵」「いいね」など相手をたたえる言葉です。例えば

 

「最近会社で役職が上がったんだ」→「わあ、すごいじゃん!よかったね!」

「最近犬を飼い始めたんだ」→「おー、犬か。いいね!かわいいよね!」

 

のように使います。特にリアクションの中で大事にすべきことはこの【感賛】で、ここに思いを乗せることで相手の会話のテンションがほとんど決まります。

 

 人に嫌われない聞き方

 コミュニケーションはまずは「嫌われない」ことが先決で「好かれる前にまず嫌われないこと」が大切です。相手に好かれる前にまずは相手の心に安心感を与え、不安を取り除くこと。そのために、まずは「やるべきこと」よりも「これはやらない」と決めることが大切です。

 

 

違う意見の人を否定しない

 人はさまざまな価値観を持っています。自分にとっての常識が相手にとっても常識と思っていると、指摘したくなるのは当然のことです。しかし、「それは違う」とできるだけ言わないようにしましょう。それは【間違っている】ではなく【自分とは違う】なのです。相手を否定するのではなく、相手との価値観の違いを理解しましょう。

 

 

正論を押し付けない

 世の中には正論というものがあります。この正論を通しすぎると相手は自分自身を否定された気分になります。正論を押し付けられると、いくら正しくても人は反発するものです。そうではなく、相手の考え方、そして感情を知ることから始めましょう。

 

 

マウンティングしない

 人は無意識のうちに相手より優位に立とうとする心理を持っています。無理やりいい話をしようとしたり、人になじみのない専門用語や横文字を使ってしまいます。日常生活のコミュニケーションの場で、相手の置かれた立場や目線を考えずに、相手が理解できないようなことばを使うのは控えた方がよいです。

 「この人の話はつまらない」と思われることはあっても「わあ、この人って物知りなのね」とリスペクトされることはまずないと覚えておきましょう。

 

 

結論を焦らない

 日常会話では結論は求めないことが大切です。 

 人にはそれぞれ話す力のレベルがあります。上手にものを伝えることができる人や、話がまとまらない人など様々です。特に会話が苦手な人に出会ったときには心がけることがあります。それは極力、結論を求めたり「何が言いたいのかわからない」という表情はしないことです。
 「要するに」とか「一言でいうと」と自分のテンポでまとめてしまうと、会話が苦手な人はどうしていいのかわからなくなってしまいます。話がまとまらない相手にプレッシャーを与えないように心がけましょう。

 

 

答えや解決策をはじめから言わない

 例えば人が悩みを打ち明けてきたときに、いきなり「それはこうすれば解決するんだよ」と答えを言うのは意外にいい方向に進みません。

 相手は気持ちをわかってほしいと願っているものです。「あなたはどうなったらうれしい?」と相手自身が解決策を自分の中から見つけ出せるようにした方が、納得がいく答えを出せます。相手が自分で解決策を見つけ出せるように話を聞きましょう。

 

 

話をさえぎらない

 会話の途中でもちろんあなたも話したいことはあると思います。しかし、コミュニケーションをうまく進めるには、話の流れに沿わない質問をしない。そして、途中で話題を変えないようにしましょう。あくまで話の流れに乗った転換や質問につなげていくように心がけるようにしましょう。

 

 

干渉しすぎない

 パートナーや子供など、身近な人に対してつい熱くなってしまう人が、注意しておく聞き方です。大切な人のことは心配でなんでも聞いて把握しておきたいという心理はわかります。しかし、相手の言いたくないことを取り調べるように聞いてしまうと、相手は自分の殻にこもってしまいます。
 相手に質問をするのではなく、自分の感情を伝えるようにして、いい距離でコミュニケーションを取っていくことが大切です。

 

 

 

【読書感想】『ライフ・シフト』を読みました

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)  リンダ グラットン, アンドリュー スコット/著

 


 人生100年時代と呼ばれる昨今のバイブル的存在の本書。人生が3ステージ―—いわゆる教育→仕事→引退——では安泰な人生を送ることができない。と言われている中、我々はどのように働いたらいいのかを示してくれる本になります。

 大枠の内容としては世間で言われている通りで、【しっかり老後に備えよ】【テクノロジー、AIの進歩によりたくさんの人が職を失う】だとかのよく知られている内容でした。(むしろ本書の影響でこういったことが世間一般で言われているのかなと感じる部分もありますね。)

 しかし、章が進むにつれて3人の架空の人物を使ったシミュレーションをしていくように内容が進みます。これが具体的でわかりやすく、彼らがどう生きたかが記述されていきます。その内容も、【無形の資産】などの参考になる考え方が多く、それを具体的に可視化させて、彼らの人生がどう変わっていったのか、深い内容がとても面白く感じました。

 いまだに様々な人に読まれ、要約版や漫画版や続編(2)などさらなる展開も見せている本書はまさに新時代を生きる人たちのバイブル的存在だと感じました。

 


本書から学べる要素

 人生100年時代

・人類の寿命は長くなり続けている

 個人の寿命は医療制度や環境の変化により、長くなることが予想されています。そして今までの社会や制度が長寿化に対応できていないのです。既存の3ステージの生き方【教育→仕事→引退】という生き方を選択することは難しくなってきています。この3ステージの生き方の選択は長い人生を残酷でつまらないものにしてしまうかもしれません。70代、ことによると80代まで働き続けても貧困の老後が待っていることになりかねないのです。これからの時代を安定したものにするため、従来の3ステージに代わる【マルチステージ】の生き方が今後の100年ライフでの生き方の定番になっていくでしょう。

 

・新しい職種とスキルが登場する

 これからの未来、ほぼすべての職がロボットとAIに代替されるか補完されることになり、あらゆる業務がこの影響を受けます。

 企業は時代に合わせ新しく企業のエコシステム(生態系)を作り、多くの専門性と多様性に特化した新しい雇用を生み出します。そして、スキルを買いたい企業と働き手をつなぐテクノロジーは安価になり、洗練されていきます。「ギグ・エコノミー」「シェアリング・エコノミー」といったより柔軟な働き方も出てきています。

 個人は70代80代まで働くとなれば20代までで身に着けたスキルの学びなおしに再投資する必要が出てきます。その移行を多く経験する未来では【投資】を怠ってはならなりません。長寿化の恩恵で長く使える時間を娯楽(レクリエーション)から投資・再創造(リ・クリエーション)に使う時間に回すべきなのです。

 

 無形の資産

・人生の「資産」を管理する

 100年ライフでは貯蓄の重要性は高まっています。しかし、お金と仕事だけに目を向けていては人間の本質を無視することになります。
 お金は重要ですが、ほとんどの人はそれ自体を目的に生きてはいません。優しい家族、素晴らしい友人、高度な知識やスキル、精神的肉体的に健康的で恵まれた人生を人は「良い人生」と考えます。
 これらの市場で売買できない要素を見えない【無形の資産】ととらえて、管理していくことも100年ライフにおいてとても重要なことといえます。

 この【無形の資産】を本書は【生産的資産】【活力資産】【変身資産】の3つのカテゴリーに分けて考えています。

 

・生産的資産

 主にスキルや知識仕事で構成されます。仕事での生産性を高めて所得を増やすことに役立つ資産となります。

 長く生産的な人生を送るためにはスキルや知識に投資することは不可欠です。教育や学習は大きな金銭的価値を生み出します。大卒者の40代の平均年間給料が8万ドルに対して、高卒者の40代は3万ドル程度。この格差はさらに高スキルが求められる今後の未来ではさらに増え続けると思われます。

 

 具体的に将来、価値を失いにくい学ぶべき知識は【イデアと創造性をはぐくむこと】【人間ならではのスキルと共感能力を発揮できること】【思考の柔軟性と敏捷性など、どの分野でも役立つ汎用スキルをはぐくむこと】になります。

 

・活力資産

 肉体的、精神的健康と幸福、友人関係やパートナーや家族との良好な人間関係となります。この活力資産を潤沢に蓄えることは「よい人生」を送る上での重要な要素となります。 


 

・変身資産

 新しい多様性に富んだネットワークと、新しい経験に対して開かれた姿勢を持っていること。従来の3ステージの生き方ではあまり重要視されていませんでしたが、マルチステージの人生ではとても重要な要素となります。変身資産は人生のステージの変更につきものの不確実性への対処能力を高めるものです。


 変身を成功させるためにはまず、ある程度【自分について理解していること】が不可欠です。今の自分を知り、将来の可能性を知らなくてはなりません。


 そして、【活力と多様性に富むネットワーク】を持っている人ほど円滑な移行を遂げやすい。移行に大事なことは何を知っているかということよりも、誰を知っているかの方がたいせつなのです。


 最後に【新しい経験に対して開かれた姿勢】があること。新しい変身は考えることではなく、行動することによって到達するものです。そうした新しい経験に開かれた姿勢こそ変身資産に活力をもたらします。

 

 新しいステージ

 100年ライフのマルチステージの働き方として以下3つのステージを上げています。

エクスプローラ

 エクスプローラー(探索者)は多様なものに触れ、実験が行われるステージです。
自分について理解して、自分が何を好み、何か得意なのかを探して回る期間なのです。

 新しい街に移り住んでその土地の人たちと知り合ったり、知らない国を旅して自分の生き方について考えたりします。

 一部の国でギャップイヤー(高校卒業を1年遅らせて、長期の旅行やボランティア活動を経験する期間)が定着していますが、それをもっと極端に進める時期でもあります。

 長く生きる時代には選択肢のことをよく理解して、自分と相性のいいものを見出すことがとても重要となります。

 

・インディペンデント・プロデューサー

 従来のキャリアから外れて自分のビジネスを始めた人がこのステージを生きます。このステージを生きる人は、ビジネスの成功よりも活動自体を目的としています。金銭的資金を蓄えることよりも、組織に雇われずに独立した生産活動に携われることに大きな意味を持ちます。

 

 このステージで生み出した評判や人脈は将来に経験するステージで貴重な【無形の資産】となるのです。

 

 年長時代の起業家たちは知的財産権を守ろうとしてきましたが、新しい時代のインディペンデント・プロデューサーたちは知的財産を公開し、「シェア」することを重んじています。まねされてコピーされることは高い評価の証であり、コピーされることによって評価や価値が高まるのです。彼らはこういった模倣や協働型のネットワークを中心に身を置き、高い評判や充実した人脈を積み重ねていきます。

 

 

ポートフォリオ・ワーカー

 異なる種類の活動を同時に行うのがポートフォリオ・ワーカーになります。スキルと人的ネットワークがすでに存在する人生の土台を築いた人たちにとって魅力的なステージとなります。
 所得の獲得を主とする活動をしながらも、例えば、地域コミュニティと関わりを主にする活動、趣味を極めるための活動、親戚の力になるための活動などに週1,2日携わったりします。

 しかし、長い人生を生きる中で一定の行動パターンが染みついてしまうことが問題で、従来の第2ステージの仕事のステージを生きただけでは、そうした柔軟性が身につかないのです。この移行に成功する人は人生の早い段階で準備に取り掛かります。小規模なプロジェクトを通じて実験を始め、自分がなりたいポートフォリオ・ワーカーのロールモデルを探すのです。

 

 

 

【ライフスタイル】読書好き独身30代サラリーマンの投資

 老後2000万問題、人生100年時代などささやかれる昨今、【資産】を築くことは将来の備え、【安心】を得られる糧となります。30代前半から自分が始めた投資に関連したこと紹介したいと思います。

 

※自分の方針を変えないための信念としてここに記入する意図もあります。

 


 

 【株式投資】シンプルかつ自動的

・積み立て投資
 プロに素人が株式投資で勝つには時間を武器にするしかありません。
 「安いところで買って高いところで売る」基本的にこれが儲かるルールですが、素人は工夫すればするほど、ギャンブルになってしまいます。

 自分が一番推奨するのは積み立て投資を自動で毎月積み立てる

 現在は情報ならば簡単に手に入れることができ分析することはできますが、どれもどっちに転ぶか専門的な知識が必要となり、素人にはなかなかわかりません。儲かるには自制やタイミングはとても難しいです。

 

 

・信託報酬の安いインデックスファンドを買う

自分が保有しているのは全米株式連動型のインデックスファンドが95%

少しハードルが高いですが、SBI証券にて生のETFに直接投資をしています。

VTI (バンガード・トータル・ストック・マーケットETF、経費率0.03%)をコアに据えて投資しています。

 

 専門用語が多く出てくるので経済や株式投資初心者には少し難しい本です。
素人の自分が唯一いえることは個別株を買うことはせず、インデックスファンド(投資信託)を買いなさい。そして長期保有しなさい。ということです。

 

 【無形の資産】への投資

無形の資産
 人生において目を向けるべきはお金など【有形の資産】だけではありません。
どうしても株式投資をしていると、貯蓄がいくらか投資がいくら儲かったかに目が行きがちなのですが、数字で見えないスキルや人間関係などの資産に投資しなければ人生は豊かになっていきません。人生においての投資では、この【無形の資産】と【有形の資産】のバランスを調整していくことこそ最も重要と考えています。

この考え方は著書『LIFE SHIFT (ライフ・シフト)100年時代の人生戦略 リンダ・グラットン/著』からいただいたもので、お金や株式投資だけに縛られない考え方を学ぶことができました。

 

人生100年時代、本書は3人の世代の違う架空の人物を作って、彼らがこれからの人生をどのように生きたかシュミレーションした本になります。3人がどのように人生を過ごして何に時間を使ってきたか、様々なパターンの考えを提示してくれます。特に【無形の資産】という考え方をはっきりとグラフにして可視化させて、記載している点がとても優れていると感じます。これからの人生を賢く生きるための良書です。

 

・スキルへの投資

  スキルに関してはとにかく生涯学び続ける姿勢こそ一番大事と考えています。学生時代に学んだことは将来どこまで通用していくか不明な部分もあります。本職の専門知識はもちろん。どんな仕事にも通用するコミュニケーションスキルから、リーダースキルなどが重要だと考えています。固定観念に縛られず好奇心をもって様々な分野勉強を広げていきたいと考えています。

 また、スキルを学ぶことに関しては読書が最強のコスパの良い投資と考えています。まず読書することが楽しいというところ、そして、このブログにアウトプットをしていることも、自分にとってはスキルへの投資と考えてやっている面があります。


・幸せへの投資

 肉体の健康、人間関係、精神状態の健康などは合わせて幸せへの投資と考えてやっています。
 人間幸せに生きることが一番人生で大事なことです。幸せの観点でいえば、現代人はアフリカの伝統的な暮らしを続けている先住民族と比べても、対して幸せでないそうです。これは将来の不安やストレスが大きくかかわっており、働きすぎたり精神を病むような人間関係があったりするからです。現代人はそのことをよく理解して生活のバランスを決めていく必要があります。

 いつも勉強や仕事に追われて時間をそこに投資するのもいいですが、よいバランスを考えなくてはなりません。いつでも安心できてリラックスできる環境づくりや、困ったときに人に頼れる人間関係の構築、病気にならずいつまでも若々しい身体。こういったベースがあってこそ人生が幸せを生きることにつながるのです。

自分が健康への投資としてやっていることとして軽く記載します。詳しくは別記事でまとめたいですね。

 

・健康への投資 自炊をなるべくして野菜をよく食べる。使う食材にはこだわる。毎日よく自然の中を歩く。

・人間関係への投資 自分に近い人間関係の家族友人恋人をとても大事に、ここには特にお金を惜しまないで使う。与えること、思いやり愛情をもって接する。

・精神状態への投資 金銭以上に時間をとにかく投資する。好きなこと、一人で自由な時間、何もしない時間をしっかりとるようにする。時間に追われる感覚を作らない。ミニマリズムや禅の考えを導入。