【読書感想】『サーチ・インサイド・ユアセルフ』を読みました

サーチ・インサイド・ユアセルフ ― 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法 チャディー・メン・タン/著

 


 グーグルの社員の著者が独自のメゾット【SIY】(サーチ・インサイド・ユアセルフ 日本語に訳すと自分の内を探れ)を紹介しており、【SIY】トレーニングを積むことで科学的な観点を踏まえてどのような利点があるかの解説しています。

 【SIY】のメリットという部分もありますが、自身の【注意力】と【情動】に気づくことができ、それらのコントロール方法の解説もあって、なかなか興味深い内容となっています。

 本書に書かれている内容は、自分の生活の中に【穏やかさ】や【明瞭さ】を得ることができる精神コントロール法です。本書に書かれているメゾットを実践せずとも、心理学的な様々な知識を得ることができます。

 少し変なユーモアが利いているところも著者の陽気さが伝わります。【やさしさ】や【思いやり】などの幸せにかかわる記述も多くあり、とても内容が濃く定期的に読み返したくなるような満足のいく良書でした!

 


本書から学べる要素はたくさんありますが、以下3点の項目に絞って紹介します。

  心の知能指数

・心の知能指数【EQ】とは

 本書で語られる内容は【EQ】と呼ばれる心の知能指数ともいうべき能力を身につけるものです。

 【EQ】は情動をコントロールする力ともいうべきもので人生で様々なメリットがあります。
 この【EQ】とは何なのか定義すると

 

 ー自分自身と他人の気持ちや情動をモニターし、見分け、その情報を使って自分の思考や行動を導く能力ー

 

 この能力を高めることができれば仕事の成功、人生の充実を得ることができます。そして誰もがこの【EQ】を後天的に伸ばすことができます。

 

・EQの恩恵①仕事での成功

【EQ】の恩恵は仕事で優れた職務遂行能力をもたらしてくれます。

優秀さの要因は純粋な知能や専門知識よりも「情動面の能力の方が2倍も重要」です。【EQ】が優れていれば誰もが職場で秀でることができます。

 

【EQ】が高いとよいリーダーになれます。卓越したリーダーの80~100%の能力は情動面での能力が占めるそうです。

 

 

・EQの恩恵②人生の充実

 【幸せ】とは人生の充実をもたらす最適の存在状態といっており、そしてその最適な存在状態

「心がどう機能するかを理解することで到達する、情動のバランス」だと言います。

 

この【幸せ】はトレーニングで身に着けることができる能力で、何も悪いことが起こっていなければ基本設定によって【幸せ】になることができます。

 

・【EQ】を養う

 【EQ】という情動面での技能を伸ばすことができれば、人生の問題は自動的に解決します。「怒り」を巧みに管理する能力を獲得すれば、怒りにまつわる行動での問題は自動的にすべて解決するでしょう。情動的な衝動に負けなくなれば、分別ある最適な行動がとれます。

 そしてこの【EQ】は大人になってもトレーニングによって得ることができる。と本書は述べています。

 

 注意力を養う

・自分の体にその注意を向ける

 情動をひたすら客観的に眺めることで、穏やかで明瞭な注意を養うことができます。

 穏やかで明瞭な注意力があれば、強い情動を経験しても、冷静になる間を置いて行動を変えることができます。

 本来直ちに情動に任せて直ちに行動をしてしまうのが本能ですが、情動にコントロールされない行動が、穏やかで明瞭な注意力によってできるようになるのです。

 

 

・マインドフルネス(瞑想)

 マインドフルネス(瞑想)をすることで筋トレと同じように心を鍛えることができます。

 まずマインドフルネス(瞑想)をするときにやるべきは意図を持つこと。マインドフルネスをする理由を持つことです。例えばストレスを減らしたい、EQを養いたい、他人の何か役に立ちたい、など自分がこのマインドフルネスをしたい気持ちを考えるのです。この段階だけでも心の健やかさが増し、トレーニングになります。

 

 意図を生み出したら次は呼吸をたどります。呼吸に意識を集中させること。これだけで注意力が増してきます。たいていの人はこの状態は長く続きません。別のことを考え注意がそれてきているのです。しばらくすると注意がそれたことに気が付きます。そうしたならば呼吸にまた注意をそっと戻してあげます。これの繰り返しをしていきます。
 さまよう注意力をもとに戻すことは、筋トレの筋肉を収縮させることのようで、マインドフルネスは心の筋肉を発達させているのです。

 

 注意力を増したら自分自身の態度を自覚することです。自分自身に対してどれほど頻繁にひどい陰口をつぶやいているか、考えてみます。できればその態度をやさしさと好奇心に替えていく。この変化自体もマインドフルネスです。

 

・活動中のマインドフルネス
 マインドフルネス(瞑想)をするのに最適な場は日常生活です。日常生活のあらゆる場面にマインドフルネスを持ち込めるようになったら人生の質が大きく変わります。


 どんな日常生活の課題をこなしているときも、一瞬一瞬の注意を向けて注意がそれるたびに、ただそっと注意をもとに戻して集中してあげることです。その経験を目いっぱい経験することができるようになるのです。

 

 例えば、いつもの食事にマインドフルネス(瞑想)を持ち込み、一つ一つの料理に目いっぱいの注意を向けること。どの料理も食べる際にしっかりと触感や味を楽しむように注意を向けてみれば、より一層楽しむことができます。

 

 さらに単純なことに注意を向けるなら【歩く瞑想】です。歩いているときの注意を体の一つ一つに向けて、注意がそれるたびにただそっと戻してあげるだけです。歩くこと、体が動いていることを認識して、それを全力で楽しんでみることです。

 

  情動を乗りこなす

・自己統制について

 私たちは情動によってさまざまな選択肢を失っています。情動をのりこなして選択に移ることができれば、【破壊的な衝動を抑えること】や【変化に柔軟に対応すること】や【自分の行いに責任を取る】などの能力を強く発揮することができます。


 情動を乗りこなす力を【自己統制】といいます。これをコントロールすることで、情動を抑えたり時には解放させたりがうまくなっていきます。
 【自己統制】は言わば情動と仲良くなること、友となることを目指します。情動を乗りこなす練習やテクニックを得ることで、情動の理解が深まり、情動との仲を深めていくことにつながるでしょう。

 

・執着と嫌悪を捨てる

 痛みは苦しみとは必ずしも結び付かないもので、この気付きを得ることは執着を捨てる練習になります。私たちが感じる【90~100%の苦しみは執着と嫌悪からくるもの】でこの2つを捨てることで苦しみから解放されることができます。

 

あらゆる思考を優しさとユーモアをもって始める

 苦しみに対処するためのテクニックがいくつかあります。そのなかであらゆる思考を優しさとユーモアをもって始めることはとても有効です。
 自分や他人に優しくすること。優しさは有害な行為に対しての癒しを与えます。
 ユーモアは自分のしくじりに対しての喜劇的な一面を見出し、笑い飛ばしてしまうことです。みっともない経験に腹を立てたりするよりも、喜劇的な一場面として考えた方がずっと面白い。